日本バプテスト仙台基督教会

日本バプテスト仙台基督教会

日本バプテスト仙台基督教会

所在地:宮城県仙台市
主要用途:教会・幼稚園・牧師館
構造:RC造
規模:地上3階
建築面積 243.80m2
延べ面積 566.05m2
竣工:2007年
構造設計:石山建築研究所
施工:大林組東北支店




グッドデザイン賞2008
日本建築学会2009年作品選集
キッズデザイン賞2009
JCDデザインアワード2008ベスト100入選
せんだいデザインウィーク街中グッドデザイン賞

老いることのできる建築
ローコストの教会である。
以前建っていた教会堂は、白い瀟洒な建築で、戦後すぐに建てられ地域の精神的な支柱となっていた。過去50年余の間に、木造の教会堂に加え、幼稚園舎と牧師館が増築されてきたが、もはや構造上も防災上も限界に達しており、新しい建築が必要とされた。次の50年のための建築であり、また布教という使命を帯びた教会という建築であるがゆえに、都市に対してアピールし続けていく存在であることが求められた。
敷地は間口のあまり大きくない旗竿状であり、周囲をほぼ全て高層マンションに囲まれた谷底にある。そうした環境に惑うことなく存在し続けることが期待された建築は、力強く確かなものでなくてはならない。
存在し続ける建築をわれわれはどのようにして送り出すことができるのか?主題は経年変化にあると考えた。現代建築は工業化された製品により覆われているが、その多くは雨だれ、ほこりなど時間の経過とともに醜く変化する。
求めたのは、時間とともに豊かに変化しつつ、記憶に残る建築である。汚れや経年変化を否定するのではなく、悠然と身にまとうことのできる存在、そして変化しつつ記憶に残る建築である。
ひとつの回答としてデコボコ、ザラザラした不均質で着色されたコンクリートを導き出した。雨だれや汚れをものともせず、それ自体が新しい意匠になり、経年変化を受容する。同時に重量感やモノの厚さが感じられ、無条件に触れたくなるような面は、幼児のみならず大人に対しても触覚的な記憶に訴える。
近づくにつれ、明確で力強い外形線は姿を消し、不均質にデコボコした外壁、ザラザラした手触りの内壁や天井が現れる。変化に惑うことのない岩肌のような壁に包まれた内部には、洞窟のように安心感のある空間が生まれた。
われわれは、視覚的な「見え」や建物の化粧をデザインするのではなく、教会という組織がこれから50年の時間と場所を創っていく、はじまりの点をお手伝いさせてもらったのだと考えている。

肌理・色・ディテール
建築の装いとしてコンクリートのあり方を追求した。色つきのデコボコ面である。イメージ通りのデコボコを得るために何度も実験を行ったが、最終的に発泡スチロール板に溶液を噴霧し、まだらに溶かした特殊な型枠を使用した。一枚一枚の型枠が全て手作り、溶け方も神のみぞ知るといったところである。デコボコにすることで汚れだけでなく、意匠上問題となるヘアクラックも目立ちにくくすることができる。
建物を特徴づける茶色いコンクリートは、暖かみのある内部空間を実現する目的から採用したが、デコボコと相俟って、汚れが自然な風合いへと変化することに一役買ってくれると期待している。
開口部のディテールは、コンクリートの色と肌理を最大限引き立てる意匠となることを目指した。西側壁面に並ぶ採光・通風用の窓を、大型の内付き引戸とすることにより、外部のデコボコ面をスポッと穿ったような独特の外観が実現した。



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