縦の家

縦の家

縦の家

所在地:宮城県仙台市
主要用途:専用住宅
構造:RC造
規模:地上4階
建築面積 43.52m2
延べ面積 142.84m2
竣工:2020年

構造設計:清水構造計画
照明コンサルタント:梅田かおり(Lighting Design Studio LUME)
施工:巧友技建工業
撮影:越後谷出

ご夫婦お二人のための住まい。

南から仙台市街にむかう幹線道路が大きくカーブを描くちょうど街のゲートのようなロケーションにある。非常に交通量の多い幹線道路の傍らに位置する20坪程度の狭小な敷地。幹線道路とは1m程度のレベル差があり、北側は4m程度の生活道路に接している。東西の隣家は密接して建つ古い住宅地である。南側の幹線道路の向かい側には大年寺山という伊達家の菩提寺がある森が豊かに広がっている。この森は杜の都仙台の自然景観を形成する大きな森のひとつである。


ご夫婦お二人の住まいに加えて、アクセサリー作家である奥様のアトリエ、ご主人の仕事場、ガレージ、ルーフバルコニーが求められ、必要面積を確保するためには敷地いっぱいの矩形の平面を3~4層積み重ねる必要があった。また、ルーフバルコニーではタープやスラックラインなどのアウトドアライフを楽しむことができることが条件として与えられた。


これらの空間を敷地に載せるためにRC造のシンプルなフレームが決定された。近接する隣家に応じて東西面の2枚と、矩形の平面を1:2程度に切り分ける1枚、合わせて漢数字の三のような3枚の壁が構造を負担する。南北面は内部空間に呼応してそれぞれに開口を穿った。


道路からアクセスできる1階にガレージとアトリエ。3階に生活空間。4階のロフト状のスペースに仕事場。2階に水回りと寝室を配した。屋上をルーフバルコニーとして、大きく螺旋を描くように1階から屋上までを階段で結んだ。


またシンプルな躯体を高性能な外断熱とトリプルサッシ・外付ブラインドで守ることにより内部空間を自由にした。内部は杉板型枠を転写した打放しとし、型枠につかった杉板を外装材に再利用することで、CO2削減をなすとともに、街に表情を与えている。


メインの生活空間は3階に位置し、かつ4階にロフト状の天井高を低く抑えた仕事場を配したため、4m程度の天井高の空間となった。大きな開口部を慎重に高さを狙って開けることで、結果として、巨人の住処のような不思議なスケールを体感できる空間となった。ちょうど幹線道路の車や近隣の建物が視界を阻害することなく、南側には大年寺山の森が広がる。外付ブラインドに外光や視界が制御され安定した環境を実現している。


施主の所有するさまざまなものがセンスよく散りばめられ、心豊かな暮らしがうかがえる住まいとなった。


SOY source 建築設計事務所 | SOY source architects
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