岩渕胃腸科内科クリニック

岩渕胃腸科内科クリニック

岩渕胃腸科内科クリニック

所在地:宮城県大崎市
主要用途:診療所
構造:S造
規模:地上1階
建築面積:301.07m2
延べ面積:293.91m2
竣工:2021年

構造設計:石山建築研究所
施工:仙北建設
撮影:越後谷出

大崎市三本木町の旧市街にあるクリニックである。
敷地は旧奥州街道が屈曲するアイストップになるロケーションに位置し、長年地域の医療施設して活動してこられた旧医院を運用しながら、新築・移転・旧医院を解体するというプロセスが求められた。


前面道路と建築予定地の間には旧医院が存在したため、新医院と道路の間には距離が発生した。街に馴染みながらクリニック建築として存在感が求められるたため、素朴な方形屋根形状とマッシブなボリュームを組み合わせた構成を採用した。マッシブなボリュームはトップライトを内包した患者の動線空間であり、外周の方形屋根の下には診療空間を配した。


構造的にはこのボリュームがコアをなし、重量鉄骨のフレームが組まれ水平力を負担する。外周には鉛直荷重を負担する軽量鉄骨の華奢なフレームが巡る架構とした。勾配屋根の範囲は柱の少ない空間として、将来の用途変更にも柔軟に対応できる。
受付から診察ゾーン・処置ゾーン・リカバリーゾーン・検査ゾーンまでをU字形の1本の動線で結び、コア側から各ゾーンに患者はアクセスできる。コア部分に患者動線を集約し、周回するスタッフ動線を明快に分けた構成で医療行為にかかる負担を軽くできるような平面計画とした。


診察ゾーンはメンテナンス性を優先した内装仕上げとしているが、患者ゾーンは清潔感と居心地のよさを兼ね備えた手触り感のある白い左官仕上とフローリングとしている。また外部からの視線を慎重にコントロールし、開口を計画することで、患者の滞在時間を快適なものにしている。


また、敷地東側に壁のように屹立するボリュームを配することで、門型フレームを東側近隣からの視線から守っている。壁のようなボリュームはオーディオルームを内包している。3重に吸音された壁・天井、躯体床で構成された内部は音響的に別世界となり、施主の念願だった音の世界に耽ることのできる専用空間を実現した。


大きな門型の中に生活の場が散りばめられ、日々の暮らしに非日常とも思える豊かな眺望が寄り添う住まいができたと考えている。


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