斜面にたつ家

斜面にたつ家

斜面にたつ家

所在地:宮城県多賀城市
主要用途:専用住宅
構造:木造
規模:地上2階
建築面積:49.90m2
延べ面積:92.74m2
竣工:2015年
構造設計:石山建築研究所
家具デザイン:渡辺吉太(アトリエセツナ)
施工:巧友技建工業
撮影:越後谷出

ご夫婦と元気に走り回る子どもの3人家族が暮らす家である。

敷地は旧街道から分かれた緩い坂道の中腹に位置する。3段造成された急斜面で、上段から下段まで高低差が約6mあり、建築に適した平場は小さい。上段から中段へ続く斜面が緑の壁のように敷地に向かい、L字の建物が壁に開くように立つことで、周囲の環境から切り取られた空間を作っている。下段にある駐車場から上がり、建物を突き抜ける通り土間をゲートのようにくぐると、目の前には新緑に色づく緑の壁に囲まれたプライベート空間が広がっている。

室内の個室は最小限とし、動線をコンパクトにまとめることでひとつのおおらかな空間に家族の居場所を散りばめたような住まい方を目指した。

L型の建物は、1階に主寝室、浴室、洗面所などの水廻り、客間、通り土間を設け、2階にはメインルーム(リビング・ダイニング・キッチン)、子ども部屋を配置した。1階は天井高を低く抑え、安心感のある空間とし、周囲の木々もあいまって静かで落ち着いた空間となっている。前面道路と庭をつなぐように配置した土間は、主寝室、水廻りといったプライベート空間と客間を分けるだけでなく、建具をオープンにすることで客間、ホール、土間を含めた一体的な使い方も可能である。土間の両端の戸を開けはなつことで、子どもにとって土間と庭は走り回れる格好の遊び場となる。2階は、L字の先に向かって高くなる天井としており、バルコニーを介して竹林まで視線がぬけ、広がりを感じるおおらかな空間となった。メインルームは、家族が食事、団らん、子どもが勉強する空間であり、その中央に位置するキッチンと一体となったテーブルに、自然と家族が集まる。キッチンに立つと2階の空間全てが見渡せるため、家族の気配が感じられる。

敷地の形状を活かしたフットプリントの小さな住宅は、緑の壁、周辺の竹林や杉林などの豊かな自然に囲まれた家族の居場所になった。


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