下の離れ

下の離れ

下の離れ

主要用途:専用住宅
構造:木造
規模:地上1階
建築面積:51.81㎡
延べ面積:51.81㎡
竣工:2016年
構造設計:石山建築研究所

施工:共栄ハウジング
撮影:越後谷出

高齢の女性が1人で暮らすことを想定した「離れ」である。2段造成された敷地の上には母屋が建っているが、道路から約3mのレベル差がある。施主自身が、将来足腰が弱ることを見越して、下のレベルに小さな離れを計画した。

崖に沿って建てられたこの建物は、高基礎で土を押さえることによって、上のレベルの宅盤を補強しつつ、下の宅盤に離れの敷地を確保している。母屋の眺望や採光に配慮して高さを抑えたボリュームは、崖下にすっぽりと収まるような小さな建物である。

南斜面、南接道の敷地は特にプライバシーに配慮する必要があり、帯状の高窓によって十分な採光を確保しつつ、視線のレベルでは道路側に対して完全に閉じている。屋根の平面剛性を壁に伝えているのは柱のせん断力のみであり、構造検討によって筋交い等のない開口部を確保することが可能になった。

平面計画では崖と階段を背にした北東、北西の壁は植栽鑑賞や通風を目的とした窓を配置している。この窓は、母屋との直接的なつながりは光や音など「気配」でつながっていたいという施主の要望に答えたものである。プランは水廻りを含めて大きなワンルームを人の高さの家具で仕切る構成としている。これによって、大きな帯状の窓から明るい光が奥の寝室まで届く計画である。一方で、通風はこの帯状の窓ではなく、換気専用に設けられた突出し窓によって行っている。

採光用の帯窓、通風用の突出し窓、出入りのための掃き出し窓、気配を演出する寝室の窓といった開口部の機能純化により、それぞれが目的に特化した形状となり、その性能を最大限に活かすことを可能にしている。

現時点では、施主は大変健康で、ご自身は母屋と離れを行き来しながら生活している。離れの機能もまた、親しい友人を招く、画廊の構想など多様で、施主や、施主のご家族は、小さな二ヶ所居住を大変楽しまれている。


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