S博士の家

S博士の家

S博士の家

所在地:宮城県仙台市
主要用途:専用住宅
構造:木造
規模:地上2階
建築面積:64.20m2
延べ面積:106.80m2
竣工:2008年
施工:巧友技建工業

第4回東北住宅大賞優秀賞
第31回東北建築賞作品賞
第5回キッズデザイン賞


Replan東北vol.29 リビング主義掲載
新建築住宅特集 2010.11
新建築住宅特集 2011.07 特集:キッチン&水回りの納まり

この住宅のコンセプトは、変わり続けるライフスタイルを柔軟に吸収できるよう、1つの大きな空間の中に4つの小さなボリュームを立体的に配置する操作で、多様な生活空間を生み出すというものである。外壁内側の壁を全て構造を兼ねた木製の棚とし、壁や天井や床から飛び出したボリューム(ロフトやキッチンカウンターや子供室など)を、多数の細かい段差で繋いでいる。小さい子供と若い夫婦にとっては、段差の上り下りは決してつらいものではなく、むしろ空間感覚を養ったり日々の軽い運動になったりと、プラスの要素が大きいものだと考えた。こうした空間の楽しさは近所の子どもたちにも好評で、毎日のように近所の子どもたちで溢れている。

また、バリアフリーとプライバシーという概念に対しては、挑戦的な解決法を探った。一見すると段差だらけで移動がつらいように思えるが、細かく分断された短い段差は、むしろ適度な運動を促しながら空間に変化をもたらす有効なものである。また、壁や扉で仕切られたプライバシーではなく、開放的な中にもボリュームや段差で視線をコントロールすることで、適度なつながりと囲まれ感を両立する豊かな空間を実現できたと考えている。


築30年程度の住宅が周囲に建ち並ぶ。取り込むべき魅力的な自然がないこの場所では、人工的に環境を生み出す必要があった。着目したのはボリュームと段差である。都心の住宅の場合、外部環境と隔離した囲い込み型の構成をとることがあるが、閑静なこの敷地はそこまでの隔離は不要であった。そこで、必要な機能を与えたボリュームを三次元的に配置することで、内部・外部ともにゆるく分節しながら繋がっている構成とした。


敷地は古い住宅団地の中にあるが、立地の良さから新陳代謝が起こり、新しい住宅も見受けられる。高齢化は進んでいるものの、若い子育て世代も少なくなく、コミュニティの在り方としては興味深い場所である。子供が微増しているコミュニティに寄与すべく、近隣の子どもたちが集まりやすく、また楽しく遊べる空間づくりを目指した。また、今後変化するライフスタイルに対応できるよう、用途を限定しない内部空間の構成を実現した。


nLDKといった住宅の固定概念にとらわれることなく、生活の動きを丁寧に想定しながら、大きなスペースや小さなスペースを設定していった。結果的に、天井高が4m以上の部分や奥まで見通せる開放的な部分など、生活の質に応じたバラエティに富む空間が生まれた。プライバシーに配慮しながら緻密に段差やボリューム配置を行うことで、単に開放的な空間であるだけでなく、視線や音を適宜遮りつつ、緩く繋がった構成を実現できた。


床から盛り上がるユーティリティやキッチンカウンター、壁から突き出る子供室、天井からぶら下がるロフト。それらのボリュームの隙間に、高さや広さに応じてさらに必要な機能を与えた。ゾーン、室、家具など異なるレベルのボリュームが、ここでは等価に、環境を生み出すための境界として機能している。三次元的に配置されたこれらのボリュームを繋ぐように、椅子やテーブルとなり、子供の遊び場ともなる、数多くの段差を設置した。


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