のびる幼稚園

のびる幼稚園

のびる幼稚園

所在地:宮城県東松島市
主要用途:幼稚園
構造:RC造
規模:地上2階
建築面積:534.39m2
延べ面積:777.20m2
竣工:2014年

共同設計:石森建築設計事務所
サインデザイン:松井健太郎
構造設計:石山建築研究所
施工:東野建設工業

津波被害からの再建
のびる幼稚園があった東松島市野蒜地区は東日本大震災の津波被害により地区全体が壊滅的な被害を受けた。幼稚園の再建は園長先生をはじめ、幼稚園の先生たちの悲願であり、不自由な仮設園舎から新園舎への引っ越しは、こども達も待ちわびる復興への道であった。野蒜地区が津波防災地区の指定を受け、現地再建が困難であったことから、同市内の矢本地区に新転地が求められ、計画が始まった。

「いごこち」の獲得
幼稚園はこどもたちの多くが初めて家族と離れた社会や空間を経験する場所である。五感を駆使して空間を認識し、多様な自分のあるいは自分たちの居場所を発見する。そうした過程を「いごこち」の獲得と名付け、様々な場面で多くの園児が多様な「いごこち」の獲得を体験できる空間を作ることを目指した。

大きなグループ、小さなグループ、動きまわるグループ、座ってお話するグループ、二人で遊ぶこども、一人で本を読むこども、グループに入るタイミングを伺うこども、グループから離れていくこども。「発見する体験」がこどもの感性を育むような園舎こそが我々の提案していった新しい園舎である。

「セル」
こどもの空間体験は設計図面に描かれるひとつの3次元空間をみんなが均質に認識するのではなく、その場の臭いや、隣にいる友だち、取手の手触りまで、より体験的に空間を捉えている。我々はプロポーザルの段階から、そうした多様な体験的認識を可能にする仕掛けとして「セル」と名づけた小さなスペースを提案した。セルは保育室に連続した小さなコーナーで、様々な仕上げや、色で区別され、床の高さも保育室より高かったり、低かったり、腰掛けられる段があったり、階段だったり、身体がその体験として覚えることのできる空間である。同時にこうした「セル」が遊戯室に多くのコーナーや、隙間、出入口を付け加え、こども達の「いごこち」の獲得次第で、彼らの社会的、個人的活動を補完することを可能としている。隠れる場所、発表する場所、自分のお城のような場所、思いのままに過ごせる場所がいつも新しい発見のきっかけとなることを期待している。


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